コラム

公開 2016.11.30 更新 2023.04.07

トラブルになる前に知っておきたい「相続」のこと

「相続」と聞いて どのようなイメージを持ちますか?

円満に相続できることもありますが、中には残された相続人たちが財産を巡って争うという、まるでドラマのような話が実際に起こっています。

そこで今回は、トラブルになる前に知っておきたい「相続」についてお話しましょう。

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「相続財産」って どんなもの?

実際に「相続財産」になり得るものは どんなものなのでしょうか。
代表的なものは、現金・預貯金・土地や建物・有価証券などがあります。その他、自動車、ゴルフ会員権や特許権なども「相続財産」に含まれます。

しかし、土地や建物など「不動産」が相続財産なのはわかっていても、お金のようには簡単に分割できない不動産のような「もの」や「権利」は、どうやって遺産分割をするのか疑問がでてくるのではないでしょうか。

「もの」や「権利」 どうやって分割する?

遺産分割が行われるまで、遺産は相続人全員の「共有財産」です。

土地や建物などの「不動産」を売却して相続することを「換価分割(かんかぶんかつ)」、第三者に不動産を賃貸するなどして相続人で共有することを「共有分割(ぶんかつ)」と言うのですが、このような不動産を将来売却し、または賃貸にして収入を得ることになった場合、その収入は遺産分割で取り決めた相続人それぞれの持分の割合を元に配分されることになります。

また、相続人の中には「自分ひとりでこの土地(建物)を所有したい」と言い出す人がいるかもしれません。

そのような場合は他の相続人にお金を支払って自分の所有物とする「代償分割(だいしょうぶんかつ)」という方法で所有権を得ることができます。

遺産分割でトラブルになった場合も、この「代償分割(だいしょうぶんかつ)」で解決するケースが少なくありません。

借金も財産!? 「相続放棄(そうぞくほうき)」という方法

「相続財産」とはプラスの財産だけではありません。
借金などの負債も「相続財産」になるということを覚えておきましょう。

借金などの負債よりもプラスの財産が多ければ、プラスの財産から借金を返済すればよいのですが、借金のほうが多い場合は考えものです。

相続人は自分の預貯金などから借金を返済しなければいけないのでしょうか?

このような場合、相続人が被相続人の権利や義務を一切受け継がない「相続放棄(そうぞくほうき)」という方法があります。

家庭裁判所に必要書類をもって申述し受理されれば、ほかのプラスの財産も相続できない代わりに借金などの負債を相続しなくても済むことになります。

この「相続放棄」は、被相続人が亡くなったこと及びこれによって自らが相続人となった事実を知ったときから3ヶ月以内に、申述しなければなりません。

しかしながら、相続人が、相続の開始があったことを知ったときから3か月以内に相続財産の状況を調査してもなお、相続を承認するか放棄するかを判断する資料が得られない場合には、相続の承認又は放棄の期間の伸長の申立てにより、家庭裁判所はその期間を伸ばすことができます。(※)

裁判所|相続の放棄の申述(参照 2016-10-13)

遺産を相続できるのは誰?

さて、気になるのは遺産を相続できるのは誰かということです。

遺産相続できるのは民法で「法定相続人(ほうていそうぞくにん)」として決められています。

ここでは複雑なケースは取り扱いませんが、「法定相続人(ほうていそうぞくにん)」は、被相続人の配偶者(夫・妻)、①子(子が既に亡くなっている場合などは孫)、②直系尊属(父母等)、③兄弟姉妹です。

なお、配偶者以外は①②③の順位に従って法定相続人になります。

相続人の組み合わせと相続の割合

  • 配偶者と子
    配偶者:2分の1、子:2分の1
  • 配偶者と父母
    配偶者:3分の2、父母:3分の1
  • 配偶者と兄弟姉妹
    配偶者:4分の3、兄弟姉妹:4分の1

子、父母、兄弟姉妹が複数人いる場合、平等に分けます。長男だから配分が多いということはありません。また、基本的に法定相続の決まりによって分配されますが、①相続人全員が納得する場合、②遺言で遺産の分配を指定してある場合は、この限りではありません。

遺言書を見つけたら…

映画やドラマで遺族が集まって遺言書の封を自分たちで切るシーンを、一度は見たことがあるのではないでしょうか。

しかし、実際に遺言書を見つけても自分たちで開封してはいけません。

「遺言書(いごんしょ)」は、遺産の相続を決定する有力な手段となります。とても影響力のある文書ですから、偽造や改ざんがなされてはならないわけです。
遺言書(いごんしょ)を見つけたら、家庭裁判所に持参して、遺言書の内容を明確にする「検認(けんにん)」という手続きをとりましょう。

万が一、「遺言書(いごんしょ)」を開封してしまったからと言って、それが直接的な原因となって遺言書が無効になったり開封した人の相続権がなくなったりするわけではありません。

しかし、裁判所に検認の請求をせずに開封すると、5万円以下の過料を課せられることがあります。

遺産相続トラブルでお困りの際は、ぜひ弁護士へご相談ください。

記事を監修した弁護士
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Authense法律事務所記事監修チーム
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