解決事例

被相続人から借金をしていた相続人が遺留分を請求してきた。

  • ご相談者Aさん
  • 年齢:80代
  • 性別:女性
  • 続柄:妻
  • ご相談者Bさん
  • 年齢:50代
  • 性別:女性
  • 続柄:長女
遺留分侵害額請求プラン
ご相談までの経緯・背景

父(80代)が亡くなったので、妻であるAさん(80代)と子どもであるBさん・Cさん(ともに50代)の3人が相続人として父の遺産を相続することになりました。

Cさんは素行が悪く、父から多額の借金をしており財産を無事に受け継いでくれるのか心配であったことから、父は自らが有する全財産を、それぞれAさんとBさんに相続する旨の公正証書遺言を作成していました。

父の死後、遺言書に従って遺産分割を進めていたところ、Cさんが弁護士を立てて、家庭裁判所に対して、遺留分減殺請求を申し立ててきました。Aさんらは、Cさんに父の遺産を譲り渡すのは納得がいかなかったのですが、Cさんには弁護士がいることもあり、どうしたらよいのかわからず、当事務所に相談にいらっしゃいました。

Cさんは、本来自分も相続人として遺産を取得することができるのにもかかわらず、Aさんらが全財産を相続することに不満があるとして、Aさん・Bさんに対して遺留分減殺請求を主張しました。

一方、父は生前Cさんの妻が経営する会社の面倒を見ており、Cさんの生活を養ってきました。そのため、Aさんらはこれ以上Cさんに父の財産を譲り渡すことには反対でした。

遺留分減殺請求

解決までの流れ

まず、弁護士は、相手方弁護士が主張する遺留分の算定根拠となっている不動産が正しく評価されているのかを確認するために、別の会社を通じて不動産の評価額の査定を依頼しました。その上で、Cさんが父に対していくら借金をしていたのかを確認するために、Aさんらが保管している借用書や金融機関からの領収書などを取り寄せました。

すると、相手方弁護士が主張している不動産の評価額は、周辺地域の評価額相場に照らして不当に高額になっており、遺留分算定の前提事実に誤認があることが発覚しました。また、生前にCさんが父から譲り受けた多額の金銭は、生計をたてるための資本として特別受益にあたることがわかりました。

そして、不動産の評価額及び開示された預金通帳の残額を把握した上で改めて計算し直した結果、父の遺言にもとづく遺産分割は、Cさんの遺留分を侵害するものではないことがわかりました。

弁護士は、この事実を主張することで、Cさんとの調停を優位に進めることができました。

結果・解決ポイント

Cさんとの調停を優位に進めた結果、AさんらはCさんに対して小額の代償金を支払うことで、Aさんらは、父の遺言どおりに不動産を相続することができました。

遺留分減殺請求

補足

遺留分減殺請求(旧制度)は、法改正により、2019年7月1日以降、「遺留分侵害額請求」に変更となりました。

旧制度では、例えば、遺産に不動産がある場合には、遺留分の割合に応じて不動産の権利そのもの(共有持分)を請求することになっていました。
しかし、それでは、一つの不動産を複数の人で共同して持ち続けることになり、法律関係が複雑になってしまいます。
そのため、新しい制度である「遺留分侵害額請求」では、不動産の権利そのものではなく、その権利の財産的な価値に応じた金銭を請求することができるようになっています。

なお、2019年7月1日以降に遺留分を請求する場合であっても、2019年7月1日以前に亡くなられた方については、旧制度の遺留分減殺請求が適用されます。

担当弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(東京弁護士会)
千葉大学法経学部法律学科卒業、上智大学法科大学院法学研究科修了。不動産法務、不動産法務と切り離せない相続を中心とした法律問題に取り組む。国内総合デベロッパー、大手証券会社、不動産協会からのセミナー・講演依頼も多く、不動産法務を基軸に積極的に活動している。
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