※掲載している事例内容は解決当時の法令に従ったものとなっております。
事例72 祭祀承継者、祭祀財産の相続争いを弁護士が条件交渉をし和解へ。
- ご相談者Xさん・長女(50代)
- 代々受け継がれてきた仏壇や神棚、系譜等を引き渡してほしい…
- ご相談までの経緯・背景
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Aさんは、前妻のBさんが他界した後、Cさんと再婚するに至りました。そしてAさんと後妻Cさん夫婦の間にはYさんが誕生しました。
それからほどなくして、Aさんと前妻Bさんとの間の子Dさん、Eさん、Fさん、Gさん、Hさんは婚姻しました。
それ以来、当家の神棚等の祭祀財産はAさんと後妻Cさん夫婦の住居に置かれ、管理されていましたが、Aさんが亡くなったことで、この祭祀財産はAさんと前妻Bさんとの間の子Eさんに相続されました。
しかし、その祭祀財産自体はEさんに引き渡されることはなく、実質Aさんと後妻Cさんの長男であるYさんの管理下にありました。
その後、Eさんが亡くなったことで、Aさんと後妻Cさんの子であり、祭祀財産を実質管理していたYさんが、この祭祀財産の承継人は自分であるとして、Eさんの子であるXさんに調停を求めてきたことから、Xさんは対応に困り、当法律事務所に相談にいらっしゃいました。
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前述のとおり、YさんはEさんが亡くなったことで、自己に本件祭祀財産の所有権があると主張してきました。
一方、依頼人であるXさんは、自分が祭祀主宰者として本件祭祀財産を所有していると主張しています。Xさんがそのように主張する理由は、Eさんの公正証書遺言において祭祀主宰者にXさんが指定されていたことと、当家における慣習で自然血族により承継されるべきだとされていたからです。
しかし、祭祀財産を管理してきたYさんも譲る気はなく、当事者同士での話し合いは平行線となっていました。
- 解決までの流れ
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まず、弁護士は、Yさんが本件祭祀財産を管理していたことについては、Eさんの生前から再三にわたり引渡しを求めたにもかかわらず、Yさんが引き渡すことなく事実上Yさんの元に置いておいたに過ぎないと主張しました。
また、当家の協議書によればCさん、Yさんについては別に墓を購入し子孫を弔うとしていることからしても、Aが当家の血縁を重視していたことが分かると主張し、本件祭祀財産を引き渡すように請求しました。
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結果・解決ポイント
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協議の結果、和解によって解決することとなりました。そして、Xさんが解決金と引き換えに本件祭祀財産を引き渡すよう主張したため、Yさんはこの条件をのむこととしました。
互いに和解条項案を出し合うにあたり、祭祀財産の承継者はXさんであること、YさんはXさんに対し解決金と引き換えに本件祭祀財産の引渡しをすること、YさんはXさんに対し当家の墓にY一家の納骨を求めないことについては最初から合意されました。
しかしながら、解決金の金額、Aさんの遺骨をどちらのものとするかについては争われました。
当初YさんはAさんの遺骨は自分にあるとし、YさんはXさんに対し遺骨の分骨はしないとの条件を提示してきました。Xさんとしても、Aさんの遺骨を譲る気はなかったため、結果的には、解決金を引き上げることで合意しました。
最終的に解決金100万円を支払うことで、YさんからXさんに無事本件祭祀財産が引き渡されることとなり、祭祀主宰者・祭祀財産の承継者はXさんであるということが合意されました。
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