※掲載している事例内容は解決当時の法令に従ったものとなっております。
事例73 特別受益
- ご相談者Aさん・次女(50代)
- 母が生前、弟に援助した不動産購入資金額を考慮して遺産分割を行いたい…
- ご相談までの経緯・背景
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被相続人であるお母様には不動産の持分権と預貯金の財産があり、子であるAさん(次女)と弟Bさん(長男)が相続人となりました。
お母様は生前、Bさんに対し不動産購入資金として多額の援助をしていました。
そこでAさんは、Bさんに『不動産購入資金として生前贈与された金額を考慮した遺産分割をしよう』と提案しましたが、Bさんは『法定相続分の2分の1ずつ遺産分割をする』と言って話がまとまりません。
Aさんは、Bさんと円満に遺産分割協議を進めたいと考え、当法律事務所に相談にいらっしゃいました。
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被相続人であるお母様の遺産は、不動産の持分権と預貯金でした。
不動産はBさんが購入したものですが、購入資金の一部をお母様が援助したため、お母様にも持分権がありました。
不動産にはBさんの家族が住居としているため、Aさんは不動産の持分権を相続するよりは、その分を金銭で相続したいと希望しています。
- 解決までの流れ
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弁護士は、不動産購入資金の援助額を特別受益として遺産分割を行うことを主張し、交渉を続けました。
特別受益とは、共同相続人の中に、被相続人から、遺贈を受け、又は婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与を受けた者がある場合、その利益のことをいいます。
この規定の背景には、その利益を相続財産の価額に加えることによって共同相続人の平等を図る趣旨があります。
Bさんは不動産購入にあたり、お母様から金銭の援助を受けていました。これは、生計の資本に該当するので、特別受益の規定が適用されます。
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結果・解決ポイント
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交渉の結果、弟 Bさんからの同意を得ることができ、Bさんがお母様から援助された不動産購入資金額を特別受益と考慮したうえで相続分を算定し、円満に遺産分割を行うことができました。
相続の問題は、複雑な計算を求められることもありますが、その背景には被相続人の意思の尊重と相続人間の平等という趣旨があります。少しでも不安に感じたり、疑問に思ったら、弁護士に相談することをおすすめします。
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