コラム

公開 2021.05.31 更新 2024.02.26

親族外承継(社内承継)のMBOとEBOとは?

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事業承継にはいくつか方法がありますが、今回は、社内の人に対して事業を承継させる方法をご紹介いたします。社内承継にはMBOとEBOがあります。具体的な手続きや注意点について、企業法務に詳しい弁護士が解説いたします。

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MBOとEBOとは?

事業承継には、下記3つの方法があります。

  1. 親族に承継させる方法
  2. 社内の人に承継させる方法
  3. 第三者に承継させる方法

②の社内の人に対して事業を承継させる方法として、MBOとEBOがあります。

MBOとは、Management Buy Out(マネジメント・バイアウト)の略称で、会社の役員がオーナー株主から株式などを取得することで、新たなオーナー株主(経営者)となることをいいます。

EBOとは、Employee Buy Out(エンプロイー・バイアウト)の略称で、会社の役員ではなく、従業員がオーナー株主から株式などを取得することで、新たなオーナー株主(経営者)となることをいいます。

MBOとEBOの違いは、事業の承継者が「会社の役員」か「会社の従業員」かの違いです。

MBOとEBOのメリット・デメリットについて

MBOやEBOのメリットは、会社の事業内容をよく理解している社内の人が事業を承継することで、承継がスムーズに進むことです。

また、実際に一緒に働いていた人から承継者を選択することになるので、経営者としての適性も十分に吟味することができ、承継後の会社の発展も多いに期待することができます。

MBOでは役員が事業を承継するため、従前の経営方針をよく理解していることが多いですが、EBOでは従業員が事業を承継するため、従前の経営方針とは異なる方針を立てることもあります。
双方にメリット・デメリットがありますので、承継者の適性や事業の将来を考慮して、どちらの手続きを選択するかを決定すると良いでしょう。

MBOやEBOのデメリットは、株式を承継するために多額の資金調達が必要となることです。
会社の規模や価値にもよりますが、株式を承継するためには、役員や従業員では捻出できないほどの大金を要することも多いです。
この資金調達がうまくいかず、MBOやEBOが進められない場合もあります。

他には、連帯保証人となることのリスクがあります。
承継者は、MBOやEBOを行う際に、会社の債務の連帯保証人となることを求められる場合があります。
会社の債務は多額となる場合も多く、連帯保証人にならなければならないのであれば、承継候補者が承継を希望しない場合も出てきます。

MBOとEBOの手続きの流れ

MBOとEBOの手続きの流れ

MBOやEBOを検討する場合は、

①事業の承継者候補を探し、打診を行う

②株主が誰か、各株主の株式保有割合を確認する

③株式の評価を行う

④株式の譲渡の条件(金額・株式数・支払方法など)を決定する

⑤株式の譲渡手続きを行う

の順番で進めていきます。

②については、株主名簿に記載されている株主が実体とは異なっていたり、実は会社法に則った株式譲渡の手続きを経ずに株式が譲渡されていたりする場合があります。
このような場合は弁護士などの専門家に相談して、誰が株主か、各株主の株式保有割合を早めに明確にするようにしましょう。

③については、税理士や公認会計士に依頼をすることが多いです。
客観的に適切な株式評価をしてもらうことで、不当な対価で譲渡を行うことを防ぎ、他の株主にも説明ができるようになります。

④については、条件が決定すれば、後々紛争にならないように、弁護士などの専門家に依頼をして、譲渡契約書を作成するようにしましょう。

⑤については、株券発行会社であれば株券の交付、株式譲渡制限が設けられている会社であれば譲渡の承認手続きなどが必要となります。
各手続きについては、会社法の知識が必要となりますので、弁護士などの専門家に依頼すると良いでしょう。

MBOとEBOの資金調達方法

MBOとEBOでは、株式を買い取る資金を準備することが課題となることが多いです。
自己資金で賄うことができれば良いのですが、そのようなケースはごく稀です。

一般的には、金融機関やファンドなどの外部から資金調達を行うこととなります。

金融機関からの借入れ(ローン)により株式の買取り資金を準備する場合は、承継者が当該ローンの債務者になります。
承継者がローンを返済しなければならない反面、承継者が株式を所有することができるので、ファンドから融資を受ける場合と比べ、承継者が主体的に経営を行うことができます。

ファンドからの出資により、株式の買取り資金を準備する場合は、会社の経営権である株式(=議決権)を、一定程度ファンドが有することになります。
承継者が個人的に借入れをしなくても良く、ファンドから経営支援などを受けられる可能性がありますが、その反面、ファンドから経営に口出しをされることも考えられます。
それぞれのメリット・デメリットを吟味して、専門家などにも相談しながら、資金調達を進めると良いでしょう。

MBOとEBOを成功させるためのポイント

MBOとEBOを成功させるためのポイント

MBOとEBOを成功させるためには、早めに準備を行うことがポイントとなります。

時間に余裕をもって進めることで、会社の財務面・法務面を整えることができ、承継する側から見ても魅力的な会社となります。
MBOとEBOでは、承継者が資金を調達したり、場合によっては会社の債務の連帯保証人となったりしますので、魅力的な会社でなければ、承継の意欲が湧きません。
また、魅力的な会社にすれば、事業を譲渡する側からしても、株式の価格が高くなるので、譲渡代金を多く貰えることになります。

また、会社の財務面・法務面を整えるためには、専門的な知識も必要となりますので、早めに弁護士や税理士などの専門家に相談をして、事業承継のための専門家チームを編成しておくと良いでしょう。

オーセンスの弁護士が、お役に立てること

・事業承継を進めるに当たっては、早めに弁護士に相談することで、株式の譲渡人が実は株主ではなかったといったトラブルを防止することができます。
・株式の譲渡に当たっては、法律上の有効な譲渡手続きを経なければ、後々、株式の譲渡が無効と判断され、トラブルに発展する場合があります。事業承継の手続きについて、弁護士に相談することで、このようなトラブルを避けることができます。
・弁護士に相談しながら事業承継を進めることにより、弁護士が、依頼者様がどのように承継を進めたいかをヒアリングして、適切な事業承継スキームを提案・アドバイスすることができます。

まとめ

以上のとおり、MBOとEBOを行うためには、様々な手続きを経なければなりません。
また、株主の確定、契約書の作成や資金調達など、法的な手続きも多いので、早めに弁護士に相談して、色々なアドバイスを聞きながら、進めていくようにしましょう。

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(第二東京弁護士会)
日本大学法学部卒業、日本大学大学院法務研究科修了。個人法務及び企業法務の民事事件から刑事事件まで、幅広い分野で実績を持つ。離婚や相続などの家事事件、不動産法務を中心に取り扱う一方、新規分野についても、これまでの実践経験を活かし、柔軟な早期解決を目指す。弁護士会では、人権擁護委員会と司法修習委員会で活動している。
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