※相続発生前のご相談に関しては有料となります。(¥10,000(税別)/60分)

1.相続財産とは

相続財産とは、故人が残した財産のうち相続人に引き継がれるものです。不動産や、骨董品などの動産はもちろんのこと、現金などのお金、預貯金や有価証券・投資信託などの金融資産も相続財産になります。また、「賃貸人としての地位」、「賃借人としての地位」といった「契約上の地位」や「権利」も相続財産となる場合があります。またプラスの資産だけではなく借金などの「マイナスの財産」も相続財産として相続人に引き継がれます。

被相続人が作成した遺言書によって、相続財産の分け方が指定されていなければ、相続人たちは自分たちで話し合って相続財産の分け方を決定しなければなりません。この話し合いを「遺産分割協議」といいます。
また、一定以上の相続財産があり、相続税の基礎控除額(3000万円+600万円×法定相続人の数)を超えている場合は、被相続人の死亡日から10か月以内に、相続税の申告と納税をしなければなりません。相続税の申告準備には時間を要しますので、早い段階で税理士に相談することが必要です。

遺産分割の対象となる相続財産と、相続税の課税対象となる相続財産は異なる部分があります。以下でそれぞれについてみていきましょう。

2.遺産分割の対象となる相続財産

遺産分割の対象となる相続財産には以下のようなものがあります。

2-1.資産や権利

  • ・ 現金、預貯金
  • ・ 不動産(土地、建物)
  • ・ 借地権、借家権
  • ・ 株式
  • ・ 投資信託
  • ・ 有価証券
  • ・ 仮想通貨
  • ・ 骨董品、絵画、貴金属
  • ・ 自動車
  • ・ 立木
  • ・ 知的財産権(商標権、著作権、意匠権、特許権など)

2-2.負債や義務

以下のような負債や義務も相続人が引き継ぐことになります。

  • ・ 借入金
  • ・ 買掛金
  • ・ 損害賠償債務
  • ・ 滞納税
  • ・ 滞納健康保険料
  • ・ 滞納家賃
  • ・ 未払いの医療費、介護費用
  • ・ 滞納水道光熱費、通信費
  • ・ 保証債務

3.相続財産にならないもの

以下のようなものは相続財産になりません。

3-1.被相続人に一身専属的な権利義務

一身専属的な権利義務とは、本人に強い関連性があり他の人には移転しない性質の権利や義務です。本人にしか帰属しないので、相続人には引き継がれません。具体的には以下のようなものがあります。

  • ・ 代理人の地位雇用契約での使用者や被用者の地位
  • ・ 委任契約での委任者や受任者の地位
  • ・ 親権者の権利義務、地位
  • ・ 組合契約における組合員の地位
  • ・ 本人でなければ意味のない債務(有名作家が執筆依頼を受けていたケースなど)
  • ・ 養育費や婚姻費用などの請求権
  • ・ 養育費や婚姻費用などの受給権
  • ・ 生活保護の受給権
  • ・ 年金受給権
  • ・ 公営住宅を使用する権利

被相続人が上記のような権利義務を有していたとしても、相続人が引き継ぐことはありません。

3-2.祭祀財産

祭祀財産とは、先祖をまつるための財産です。「祭祀主催者」が承継するので、遺産分割の対象にはなりません。具体的には以下のようなものが祭祀財産となります。

  • ・ お墓(墓地の権利、墓石)
  • ・ 仏壇、仏具
  • ・ 神棚
  • ・ 家系図
  • ・ 位牌

祭祀承継者は、被相続人(亡くなった人)が指定できます。遺言書などで「長男(次男、長女など)を次の祭祀主宰者とする」と指定されていたら、指定された人がお墓や仏壇などを引き継ぎます。指定がないときには「慣習」によって定められ、それでも決まらないときには裁判所の調停や審判にて決定されます。

祭祀主宰者を自分たちで話し合って決められない場合には、家庭裁判所に「祭祀承継者指定調停」を申し立てて、家庭裁判所で調停委員の関与のもと話合いをしますが、それでも決められない場合には、家庭裁判所の審判により決定します。

4.相続財産ではないが相続税の対象になるもの

遺産分割の対象となる相続財産と相続税の課税対象には「ズレ」があります。以下で相続財産ではなくても相続税がかかる財産をみていきましょう。

4-1.生命保険の死亡保険金

亡くなった方が生命保険に入っていた場合、受取人として指定された人が死亡保険金を受け取ることができます。死亡保険金は、原則として、受取人の固有の財産とみなされ、遺産分割の対象にならないので、遺産分割協議の際に分け合う必要はありません。しかし税務上は相続税課税の対象なので、課税対象となる遺産に含めて計算する必要があります。

また死亡保険金には以下のとおりの相続税控除が認められます。

  • ・ 法定相続人数×500万円

たとえば配偶者と3人の子どもが相続する場合、法定相続人が4人いるので2000万円が控除されます。このように、生命保険金には相続税の控除が認められているため、多額の現預金を持っている方が、現預金でそのまま保有しているよりも、終身の生命保険に入っておくと、節税対策に役立ちます。

4-2.死亡退職金

死亡退職金とは、死亡を原因として支給される退職金です。死亡退職金も、その受給権者について、民法の相続順位と異なる定め方がしてある場合には、原則として、受給権者たる遺族の固有の財産となり、遺産分割の対象たる相続財産にはなりませんが、相続税の課税対象たる相続財産にはなります。

死亡退職金にも死亡保険金と同様の相続税控除が適用されます。

  • ・ 法定相続人数×500万円

中小の同族会社などの場合、死亡退職金を設定しておくと相続税の節税対策に有効です。

4-3.死亡前3年以内に行われた贈与

生前贈与された財産は、遺産分割協議において「特別受益」として考慮されることはあっても、相続人全員の合意がない限りは、遺産分割の対象にはなりません。

一方、相続税制では「被相続人の死亡前3年以内に行われた贈与」に対しては「相続税」が課税されます。

4-4.相続時精算課税制度の適用を受けた贈与

相続時精算課税制度を利用して行った生前贈与も、遺産分割協議において「特別受益」として考慮されることはあっても、相続人全員の合意がない限りは、遺産分割の対象にはなりません。

一方、被相続人の生前、「相続時精算課税制度」を適用したために贈与税の支払いをしなかったケースでは、相続発生時に贈与分を相続財産に含めて相続税を支払うことになります。

4-5.特別寄与料

特別寄与料とは、被相続人を献身的に介護した一定範囲の親族に認められる金銭請求権です。孫や長男の嫁などは法定相続人ではありませんが、被相続人を献身的に介護・看護した場合、相続人に「特別寄与料」というお金を請求できる場合があります。

特別寄与料は遺産ではないので遺産分割の対象にはなりませんが、特別寄与料を受け取った人は、亡くなった人から遺贈を受けたものとみなされ、相続税がかかります。なお、特別寄与料を受け取った人が、被相続人の一親等の血族及び配偶者以外の場合は、相続税額が2割加算になります。

5.相続財産の範囲がわからなければ弁護士へご相談ください

相続を進めるとき、相続財産が確定されていないと遺産分割協議も始められません。できるだけ早めに相続財産調査を行いましょう。

5-1.相続財産調査の方法

  • ・ 預貯金については金融機関に問い合わせる(残高証明書や取引履歴、通帳等)
  • ・ 株式については証券会社や証券保管振替機構に問い合わせる(残高証明書、取引履歴等)
  • ・ 不動産については法務局や役所で資料を集める(登記簿謄本や固定資産評価証明書、名寄帳等)
  • ・ 家の中を探す(金融機関からの郵便物等の中に、相続財産に関する資料があるかもしれません。)
  • ・ 貸金庫を確認する(貸金庫内に、現金や高価な動産、相続財産に関する資料があるかもしれません。)

資産だけではなく負債も相続対象なので、借用証がないか、滞納税や未払い家賃の請求書などが届いていないかしっかり確認しましょう。相続人から、信用情報機関に開示請求をし、被相続人の負債状況を確認することも可能です。

5-2.遺産相続は専門家へ相談を!

相続人間で相続財産の範囲に争いが生じてしまうケースも少なくありません。たとえば同居の相続人による預貯金の使いこみが発覚したら、他の相続人は取り戻しを要求するでしょう。その場合、遺産分割協議の前提として「どのくらい使い込まれたのか」を明らかにして「どこまでを相続財産に組み入れるべきか」明確にしなければなりません。

また相続税の払いすぎを防止するためには、正しく課税対象資産を調査し、適切に税法上の控除を適用するなどして、相続税額を正確に計算し、申告をする必要があります。

難しい相続手続きへ適切に対応するには、弁護士や税理士によるサポートがあると安心です。

当事務所では相続対策に詳しい税理士とも連携しながら弁護士が遺産相続案件へ積極的に取り組んでいます。相続財産や遺産分割、相続税申告でお悩みの方がおられましたらお気軽にご相談ください。

このコラムの監修者

  • 堅田勇気 弁護士
  • 弁護士法人 法律事務所オーセンス

    堅田 勇気 弁護士(神奈川県弁護士会所属)

    富山県南砺市出身。一橋大学法学部卒業。遺産分割、遺留分、遺言などの相続問題をはじめとする家事事件を中心に取り組む。当事者間の感情的な対立によって、協議による解決が難しくなっている問題を、法律家として依頼者の窓口となり依頼者の精神的負担を軽減すること、気持ちに寄り添いながらも、一つひとつを冷静かつ適切に分析し、どのような解決方法が依頼者にとって最善かを常に考えることに努めている。座右の銘は、「質実剛健」。

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