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法律事務所オーセンスの相続コラム

遺産分割に期限はある?リスクの高い期限つきの相続手続について

遺産分割に期限はある?リスクの高い期限つきの相続手続について

遺産分割協議そのものに期限はありませんが、相続の手続には期限付きのものもあるので、あまり遅くなると、不利益が生じるおそれがあります。できる限り相続開始後10か月以内には完了するのが望ましいと言えます。早めの対応が大事です。

このコラムの監修者

  • 松尾洋志 弁護士
  • 弁護士法人 法律事務所オーセンス

    松尾 洋志 弁護士(第二東京弁護士会所属)

  • 日本大学法学部卒業、日本大学大学院法務研究科修了。離婚や相続などの家事事件、不動産法務を中心に取り扱う。民事事件から刑事事件まで、幅広い分野で実績を持つ。

1.遺産分割に期限はない

相続人同士で遺産分割を進めようと思っても意見が合わず、スムーズに解決できないケースは少なくありません。そもそもお互いに時間をとれず、遺産分割協議を開始できないというケースもあるでしょう。

では、遺産分割協議に期限はあるのでしょうか?

実は遺産分割には法的な期限がありません。相続開始後たとえ10年が経過してから遺産分割をしてもかまいません。

ただし、遺産分割をせずに放置すると、様々なリスクが発生します。特に遺産が多額で「相続税」の納付義務が発生する場合、相続税の申告納税期限までに遺産分割が成立していないと大きな不利益を受ける可能性があります。

以下で相続税納付期限と遺産分割の関係についてみていきましょう。

2.遺産分割と相続税納付期限との関係

相続税は、相続開始があったことを知った日の翌日から10か月以内に申告と納付をしなければなりません。
それまでに遺産分割が完了していないと、「相続税の控除制度」を適用できない可能性があります。

2-1.配偶者控除

配偶者控除とは、配偶者が遺産相続するときに「法定相続分」または「1億6千万円」まで相続税がかからなくなる制度です。この制度によって、大幅な控除が認められるので、配偶者が相続する場合には相続税を納付する必要がないというケースが多くなります。

2-2.小規模宅地の特例

被相続人が居住や事業に使っていた土地を相続するときに一定要件を満たせば適用できる特例です。土地評価額の50%又は80%が減額されるので、相続税を大きく節税できます。

遺産分割が未了の場合、上記の特例を適用できないのが原則です。いったん法定相続分に従って相続税の申告を行い、控除なしの前提で納税しなければなりません。

相続税の申告の際に、「申告期限後3年以内の分割見込書」という書類を提出すれば、3年以内に遺産分割を成立させて控除を受けられますが、後に「更正請求」等の手続を行って支払いすぎた税金の還付を受けなければなりません。手間がかかりますし、いったんは高額な現金を用意しなければならないのは負担となるでしょう。

このように、遺産分割が、相続開始があったことを知った日の翌日から10か月以内に済んでいない場合、相続税が高額になるなど、負担が重くなる可能性があるので、できれば相続税の納付期限までに成立させるのが望ましいと言えます。

2-3.相続税が発生しない場合

相続税が発生しないケースでは、相続税の納付期限を意識する必要はありません。ただし、その場合でも、遺産分割をしないで放置するとさまざまなリスクが発生するので、早めに成立させることをお勧めします。

以下では、遺産分割をしないとどのような問題が起こるのか、見ていきましょう。

3.遺産分割をしないで放置するリスク

3-1.遺産が共有状態となり、活用や処分、権利行使をしにくくなる

遺産分割が未了だと、遺産が相続人の「共有」や「準共有」になります。つまり相続人らが1つの財産を共同所有する状態です。
例えば不動産は相続人全員の「共有」、株式は全員の「準共有」となります。
共有や準共有状態では、それぞれの相続人が自由に財産の処分や活用をできません。売却等の行為に他の相続人の同意を得ないといけないので、協議が面倒になって放置されるケースが多々あります。共有者同士で意見が合わずトラブルになる事例も少なくありません。
また、不動産収益や株式配当などの利益を得られたとき、いちいち分配するのに手間が掛かります。誰か1人が独占してトラブルになるケースもあります。

3-2.誰のものかわからないので混乱が発生する

遺産分割が成立しないと、不動産や預貯金等の財産は、ずっと死亡した「被相続人名義」のままです。そうなるとはた目には死亡している被相続人の財産ということになり、混乱が生じる可能性があります。
例えば、共同相続人が「自分の持分」のみ勝手に売却してしまい、他の相続人との間でトラブルになるケースもありますし、無権利者が不動産詐欺に利用するおそれも懸念されます。

早めに名義変更するためにも、遺産分割は早めに行った方が賢明です。

4.遺産分割以外に期限のある相続手続

遺産分割には法的な期限が設定されていませんが、それ以外の手続に期限のあるものがいくつかあります。

4-1.相続放棄、限定承認

相続放棄とは、資産も負債も一切承継せず相続人としての立場を放棄することです。
限定承認とは、相続財産の範囲内でのみ負債を承継することです。
相続放棄や限定承認を行うには、原則として、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に家庭裁判所に対し、「相続放棄(限定承認)の申述」をしなければなりません。

この期限を過ぎると、原則として、「単純承認」が成立し、相続放棄や限定承認を行うことができなくなります。負債を免れたい場合は、特に、期限を過ぎると重大な不利益を受ける可能性があるので急ぎましょう。

4-2.準確定申告、相続税申告、納税

準確定申告とは、被相続人に確定申告する義務や必要性があったときに相続人が代わって行う確定申告です。被相続人が事業者や高額の給与所得者であった場合や還付金の申請をできる状態だったケース等で相続人が行います。準確定申告は、「相続開始があったことを知った日の翌日から4か月以内」と期限が定められています。

相続税の申告と納付は「相続開始があったことを知った日の翌日から10か月以内」です。
税金を期限内に納付しないと税務署から督促を受けたり、延滞税が加算されたりといった不利益が生じるので、早めに対応しましょう。

4-3.遺留分侵害額請求

不公平な遺言や贈与によって「遺留分」が侵害された場合、侵害された相続人は、「遺留分侵害額請求」をしてお金で遺留分を取り戻せます。遺留分とは、兄弟姉妹以外の法定相続人に認められる最低限の遺産取得割合です。

遺留分侵害額請求の時効は、「相続開始と遺留分を侵害する贈与又は遺贈を知ったときから1年以内」です。この期間内に侵害をしている者へ向けて「遺留分を請求します。」と意思表示しなければなりません。
また、相続開始後10年が経過すると、相続開始や遺言又は遺贈の事実を知らなくても遺留分侵害額請求権が「除斥期間」によって消滅します。

知らない場合にはどうしようもありませんが、被相続人の死後に不公平な遺言書の存在や贈与の事実を知った場合には、早めに遺留分を侵害している者に対し、に遺留分侵害額請求の意思表示を行いましょう。

まとめ

遺産分割そのものには期限がありませんが、相続後はさまざまな手続に対応しなければなりません。相続税の申告納税を始めとして、期限のある手続も多いので早め早めに進めていきましょう。
遺産分割協議、遺産分割調停、相続放棄や遺留分侵害額請求等、法的な対応は弁護士に依頼するとスムーズに進みます。相続人の立場になって迷ってしまったら、お早めにご相談ください。

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