コラム

公開 2021.02.22 更新 2024.02.26

納得できない!寄与分が認められる5つのケースと計算方法

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遺産相続の際に他の相続人が寄与分を主張してきたが、納得できない。ということもあるのではないでしょうか?そんなときはまず「そもそも寄与分が認められるケースかどうか」を検討しましょう。
寄与分には法律実務で使われる計算方法もあります。
今回は寄与分が認められるケースや計算方法、主張されたときの対処法を解説します。

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1.寄与分とは

寄与分とは、被相続人の財産維持や形成に特別な貢献をした相続人に認められる、法定相続分より多い遺産取得分です。

被相続人が生きているとき、献身的に介護したり被相続人の事業を手伝ったりした相続人がいたら、その相続人の遺産取得分を増やさないと他の相続人との間で不公平となってしまうでしょう。そこでこういった「特別な貢献」をした相続人がいる場合には、その相続人の遺産取得分を増やすことができます。その増やされた遺産取得分を「寄与分」といいます。

寄与分が認められるには「特別な貢献」がなければなりません。
親族として当然のサポートや扶養の範囲内の行動では寄与分が認められないので注意しましょう。

被相続人が亡くなる前に介護した相続人がいたら、「私には寄与分がある」と主張して遺産を多めにもらいたいと希望するケースが多々あります。
しかし他の相続人が納得できない可能性もあるでしょう。
すると、両者で意見が合わず遺産相続トラブルに発展してしまいます。

2.寄与分が認められる5つのケース

寄与分が認められる5つのケース

寄与分が認められるのは、以下の5つの場合です。

2-1.家業に貢献

1つ目は、被相続人の「家業」に相続人が貢献したケースです。
たとえば被相続人が店を営んでいたとき、無給で手伝い続けた同居の相続人がいたら寄与分が認められる場合があります。
被相続人の農業や漁業、林業等の家業を手伝っても構いません。

ただし「特別な寄与」が認められるには、「無給で長年手伝い続けた」などの事情が必要です。
きちんと給料をもらっていた場合や、「1ヶ月だけ手伝った」場合などには寄与分は認められません。

2-2.療養看護

被相続人を献身的に介護・看護した相続人にも寄与分が認められます。
ただしこちらについても「親族として当然の義務」を超えて介護した事情が必要です。
たとえば介護のために仕事を辞めた、介護があるので結婚を諦めて自宅介護に専念していた、など。

介護は介護事業所に任せていた、同居の親族が老人ホームとの連絡役になっていただけ、補助的に介護をしていただけ、などの場合には寄与分までは認められない可能性があります。

2-3.金銭出資

被相続人の事業へ出資して金銭的な援助を行った場合にも寄与分が認められる可能性があります。
ただし一定以上のまとまった出資でなければならず、「返済」を受けていないことも必要です。

2-4.扶養

被相続人が金銭に困っていたとき「扶養」したら寄与分が認められる可能性があります。
ただし親族の扶養義務の範囲内であれば「特別な貢献」にならないので寄与分は認められません。

2-5.財産管理

被相続人の財産を適切に管理し、財産の散逸を防いだケースでも寄与分が認められる可能性があります。
たとえば相続人がマンションを管理していたので管理業者に頼まなくて済んだ場合など。このパターンでも、相続人が「報酬をもらっていない」等の事情が必要となります。

3.寄与分の計算方法

それぞれのパターンにおける寄与分の計算方法をみていきましょう。

3-1.家業に貢献

家業に貢献した場合には「本来なら受け取るべきであった給料額」が寄与分となります。
ただし被相続人と寄与者が同居していた場合「生活費」を控除しなければなりません。このとき「生活費控除率」という係数を定めて適用します。

  • 寄与分の評価額=「本来受け取るべき給料額×(1-生活費控除率)×寄与した年数」

3-2.療養看護

療養看護型の場合には、「もしもプロの業者に介護を依頼していたらかかったはずの費用」を基準に算定します。
一般的には介護費用の相場を用いると良いでしょう。

  • 寄与分の評価額=「1日あたりの職業介護人の相場価格×介護日数」

3-3.金銭出資

金銭出資した場合には、出資した金額を用いて評価します。

3-4.扶養

扶養料を支払っていた場合には、支出した扶養料の金額をもとに算定します。

3-5.財産管理

相続人が管理したことによって支出を免れた費用を計算します。
たとえばマンション管理によって管理業者への支払が不要となったケースでは、マンション管理業者の相場の費用が基準になるでしょう。

3-6.実際には「裁量」によって調整されるケースが多い

ただし、寄与分計算においては、必ずしも上記で計算された「全額」が寄与分として認められるとは限りません。
金銭出資した場合や看護を行った場合でも、計算結果に対して裁判所が裁量によって減額するケースが多数です。

自分たちで話し合って決めるときにも、必ずしも計算結果に縛られず、状況に応じて柔軟に対応しましょう。

4.寄与分に納得できないとき、どうすれば良いのか?

寄与分に納得できないとき、どうすれば良いのか?

他の相続人が寄与分を主張すると「どうしても納得できない」ケースがあるものです。
そんなときには、以下のように対応しましょう。

4-1.法律的な根拠を示して話し合う

まずは法律的な根拠に沿って話し合いをしましょう。
たとえば相手が「老人ホームとの連絡役をしていたから寄与分を求める」と主張しているなら、「それだけでは法律的に寄与分が認められない」と伝えて説得してみてください。
相手が寄与分の主張を取り下げれば、通常通りに法定相続分に従って遺産分割協議を進められるでしょう。

4-2.遺産分割調停を申し立てる

相手を説得しても応じない場合には、家庭裁判所で遺産分割調停を申し立てましょう。
調停では、2名の調停委員と調停官(裁判官)が間に入って話し合いを進めてくれます。
相手が無茶な主張をしていたら、調停委員からもいさめてもらえるでしょう。
自分たちだけで話し合うよりも合意しやすくなります。

4-3.弁護士に代理を依頼する

寄与分の主張をされて納得できないとき、自分たちだけで話し合うともめてしまうリスクが高くなります。
法律知識が不正確なため、どちらが正しいかわからず水掛け論になってしまうケースもあるでしょう。
無駄なトラブルを避けるには、弁護士に遺産分割協議の代行を依頼する方法が効果的です。
弁護士であれば、法律論によって相手を説得し、妥当な内容で遺産分割協議をまとめられます。
困ったときには遺産相続に詳しい弁護士に相談してみましょう。

まとめ

遺産分割協議において、寄与分を主張されるとトラブルになってしまう事例が多々あります。
納得できない場合には、まずは弁護士に相談して「本当に寄与分が認められる場合なのか」を明らかにしましょう。
寄与分が認められる場合には正しく計算しなければなりません。
自分たちだけで寄与分を計算したり話し合ったりするのが難しければ、弁護士の力を頼りましょう。
相続トラブルでお困りの方がおられましたら、まずはお気軽にオーセンスまでご相談ください。

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