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法律事務所オーセンスの相続コラム

従業員に事業継承させる方法と手続について解説

従業員に事業継承させる方法と手続について解説

事業承継の種類には、従業員に承継させる方法があります。最近では、相続人以外に事業承継を行うことも増えてきました。今回は、事業を従業員へ承継させる場合のメリット・デメリットとともに、具体的な手続や注意点について、事業承継に詳しい弁護士が解説いたします。

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このコラムの監修者

  • 松尾洋志 弁護士
  • 弁護士法人 法律事務所オーセンス

    松尾 洋志 弁護士(第二東京弁護士会所属)

  • 日本大学法学部卒業、日本大学大学院法務研究科修了。離婚や相続などの家事事件、不動産法務を中心に取り扱う。民事事件から刑事事件まで、幅広い分野で実績を持つ。

事業承継の種類について

事業承継には、主に、①相続人に承継する方法、②従業員に承継する方法、③第三者に承継する方法があります。
相続人の中に事業を継ぐ意思があり、事業を継ぐ適性がある人がいる場合は、①を選択することが多いでしょう。
もっとも、最近では、相続人が親の会社を継ぐ気がない、そもそも相続人がいないというケースも多く、相続人以外に事業承継を行うことも少なくありません。
相続人以外に事業を承継させるケースには、②や③がありますが、②の場合は、会社に詳しい人が継ぐので、他の従業員、取引先や金融機関の理解が得られやすいというメリットがあります。
もっとも、②の場合に、従業員が現経営者から株式を承継する際の資金などの確保が難しいこともあります。そのようなときは、③を検討することもあります。

ここでは、②の従業員に事業を承継させる方法について、具体的に解説していきます。

従業員への承継を検討する際の手順

従業員への承継を検討する際の手順

事業を従業員へ承継する際には、以下の手順を踏むことになります。

①後継者候補の従業員の選定・当該従業員への意思確認

従業員に事業承継する場合は、他の従業員が不満に思わないよう、慎重に次期経営者を選定する必要があります。
また、次期経営者が金融機関から、会社への融資の連帯保証人になることを求められることも多いので、それも含めて、事業を承継する意思があるか否かをしっかりと確認しなければなりません。
そのため、後継者候補の従業員を選定することが従業員への事業承継の最初の一歩となります。

②事業承継の計画の策定(後継者の教育・経営状況の把握など)

後継者候補の従業員が決まれば、当該候補者に対して、経営者としての教育をしていく必要があります。
取引先や金融機関との交渉なども担うことになるのであれば、後継者として紹介し、積極的に交渉の場に同席させていくと良いでしょう。
また、事業承継計画を策定するためには、まずは会社をとりまく状況(会社の経営資源の状況、会社の経営リスクの状況や経営者自身の状況など)を把握する必要があります。その上で、専門家に相談しながら、計画の策定を進めていきましょう。株式が分散している場合には、株式の買取りなどを検討する必要があります。

③事業の承継方法(株式の承継・承継に必要な資金の検討)

後継者に株式を承継させる方法を検討しましょう。
従業員への株式の承継については、主に、①売買、②贈与と、③相続の方法があります。
株式を贈与すると贈与税がかかりますし、売買すると取得資金の準備が必要となります。
現経営者の相続人からも、後々、遺留分を請求される可能性があるので、株式の承継については、慎重に判断していきましょう(具体的には、次の「従業員への株式の承継について」をご参照ください)。

また、株式の承継に費用が掛かることへの懸念や現経営者(及びその相続人)が株式を保有しておきたいなどの理由から、株式を次期経営者の従業員に承継させず、経営権(代表取締役の地位など)のみを承継させる方法もあります。
もっとも、この方法ですと、後継者となる従業員と株主(現経営者又はその相続人)の意見が異なると、会社の運営に支障をきたすこともあるので、後継者に一定程度の株式を集中させ、なるべく株式と経営を一致させる方向で進めることをお勧めいたします。また、必要に応じて、種類株式を活用することを検討しましょう。

いずれの方法をとるとしても、契約書や遺言を作成すべきです。
曖昧な部分があると、事業承継で揉めてしまうことがあるので、弁護士などの専門家を入れて、内容に漏れがなく、双方が納得した書面を作成することをお勧めいたします。

従業員への株式の承継について

従業員への株式の承継方法について、具体的にみていきましょう。

①売買の場合は、現経営者と後継者との間で株式譲渡に関する契約書を作成します。また、譲渡制限株式を譲渡する場合には、株主総会や取締役会といった機関で、譲渡承認が必要です。さらに、株主名簿の書換などの手続をとることになります。
売買ですと、現経営者の相続の際に、「特別受益」などで問題になることを避けることができ、現経営者の相続人からクレームがくる可能性も低くなります。
ただし、不当に低い金額で売買すると、贈与税が掛かる可能性がありますので、注意しましょう。
適正な価格で売買すること、契約書の作成や譲渡承認などの手続を踏むことがポイントとなります。

②贈与の場合も、現経営者と後継者との間で贈与に関する契約書を作成し、その他譲渡承認や株主名簿の書換などの手続をとることになります。
また、贈与税が生じる場合は、贈与税も納めなければなりません。
贈与の場合は、現経営者の相続人が遺留分を請求してくる可能性があるので、遺留分の問題に対してとるべき対策を検討しましょう。
現経営者の相続人との関係性を考慮すること、契約書の作成や譲渡承認などの手続を踏むことがポイントとなります。

③相続の場合は、現経営者が後継者に株式を取得させる旨を遺言で定めることとなります。
相続が発生した後、株主名簿の書換えを行います。
また、相続税が生じる場合は、相続税も納めなければなりません。
相続の場合は、現経営者の相続人が、遺留分を請求してくることもありますので、相続人との関係が悪いと、紛争となる可能性が出てきます。
現経営者の相続人との関係性を考慮することがポイントとなります。

①②③のいずれの方法をとるにしても、①売買代金、②贈与税や③相続税のように後継者側で金銭を準備する必要があります。
どの程度の金銭が必要となるかを調査した上で、しっかりと準備するようにしましょう。

なお、②③の場合、事業承継税制の活用により、税金の支払の猶予又は免除ができる場合があります。
色々な要件がありますので、事業承継税制の活用を検討したい場合は、一度、税理士への相談をご検討ください。

従業員への債務の承継について

従業員への債務の承継について

従業員への事業承継の場合、債務の承継については、注意が必要です。
一般的に、経営者は、会社の債務の連帯保証人となっていることが多いからです。

そのため、従業員へ事業承継を行う場合、当該従業員も連帯保証債務を引き継ぐ可能性が高くなります。
しかし連帯保証人になれば、会社に万が一のことがあったときに自らの財産を失いかねません。事業を承継する側の従業員にとっては心理的に大きな負担です。

また、事業を承継させる従業員が連帯保証人となったとしても、現経営者が当然に連帯保証人の地位を免れられるというわけではありません。

そのため、債務の承継をスムーズに進めるためにも、まずは事業を承継させるまでに債務の圧縮を検討し、金融機関と粘り強く交渉をしていくようにしましょう。
事業を引き継ぐ従業員が、債務を承継できるように、負担に見合った報酬を確保するなどの対策もとっておくと良いでしょう。

従業員が事業を承継する場合、債務の承継は特に重要となります。
早めの準備を行い、債務を圧縮するなど、事業を承継させる従業員の負担が大きくならないよう、配慮しながら進めていきましょう。

まとめ

事業承継において、従業員への承継を考える場合は、人選や株式承継のための手続、資金調達や債務の承継など、様々な手続が必要となります。
また、関係者の理解を得て「経営」そのものも承継しなければなりません。

特に、株式の承継については、会社法、相続や税金などの専門的な知識が必要になるので、必ず専門家に相談の上で進めることをお勧めいたします。
また、現経営者、現経営者の相続人、後継者が争いにならないよう、しっかりと契約書などを作成していくことが重要です。
こちらについては、事業承継に詳しい弁護士に作成を依頼することがお勧めです。

従業員への事業承継については、専門家に相談しながら、しっかりと計画を立てて進めていくと上手くいくでしょう。

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