遺言書の有無確認・遺言書の検認・遺言書調査

  • 主な遺言書の種類は「公正証書遺言」「秘密証書遺言」「自筆証書遺言」の3つ
  • まずは遺言書の有無を確認する
  • 自筆遺言書、秘密証書遺言を見つけたら、開封する前に家庭裁判所に検認の申立てを

ご家族が亡くなった場合、遺族は遺言書の有無を確認しましょう。なぜなら、遺言書の有無によって、遺産分割において財産の受取人や割合が変わるからです。

遺言書は3種類

一般的に作成される(普通方式)遺言として「公正証書遺言」「秘密証書遺言」「自筆証書遺言」の3つの種類があります。

公正証書遺言は、公証役場で保管されており、相続人が照会すれば存在の有無が分かり、遺言を保管している公証役場に対して、謄本の交付を請求することができます。秘密証書遺言は、自宅などで保管されていますが、作成には公証人がかかわるため、公証役場で存在の有無がわかります。

自筆証書遺言は個人の管理となるため、存在していれば自宅に保管されていますが、有無を確認するためには実物を探すしかありません。場合によっては、銀行や弁護士、税理士、司法書士などに預けられていることもあります。

また、平成30年改正で新設された自筆証書遺言の「保管制度」(法務局において自筆証書遺言を保管する制度)を利用している場合には、自筆証書遺言が法務局に保管されている可能性もあります。

公正証書遺言

公正証書遺言は、遺言者が公証人に遺言の内容を伝え、それにもとづいて、公証人が遺言者の真意を正確に文章にまとめ、公正証書遺言として作成するものです。
公証人と遺言者に加え、証人2人の立ち会いが義務付けられています。適当な証人が見当たらない場合には、公証役場で紹介してもらうこともできます。

公正証書遺言は、家庭裁判所で検認の手続の必要がないので、相続開始後、速やかに遺言の内容を実現することができます。また、原本が必ず公証役場に保管されます。遺言書が破棄されたり、隠匿や改ざんをされたりすることはありません。

自筆証書遺言は、すべて自分で書かなければならないため、自書が困難となった場合には、自筆証書遺言をすることはできませんが、公正証書遺言は、公証人に依頼すれば、公証人が作成してくれるため、全文を自書できない場合にも作成することができます。
高齢や病気などで、公証役場に出向くことが困難な場合には、公証人が遺言者の自宅または病院等へ出張して遺言書を作成することもできます。また、署名することさえできなくなった場合でも、公証人が遺言者の署名を代書できることが法律で認められています。

Check!公証人とは

公証人は、元裁判官、検察官などの法律事務に携わってきた法律の専門家であり、法律上の守秘義務が課されています。
正確な法律知識と豊富な経験から、法律的に整理された内容の遺言となるようにアドバイスをくれたり、遺言者にとって最善と思われる遺言書を作成します。

秘密証書遺言

秘密証書遺言は、遺言者が遺言の内容を記載した書面(自書である必要はないため、パソコンなどを用いても、第三者が筆記したものでも構いません。)に署名押印をした上で、これを封じ、遺言書に押印した印章と同じ印章で封印した上、公証人及び証人2人の前にその封書を提出し、自己の遺言書である旨及びその筆者の氏名及び住所を申述し、公証人が、その封紙上に日付及び遺言者の申述を記載した後、遺言者及び証人2人と共にその封紙に署名押印することにより作成するものです。

遺言書が間違いなく遺言者本人のものであると明確にでき、かつ遺言の内容を秘密にすることができますが、公証人はその遺言書の内容を確認することはできないため、遺言書の内容に法律的な不備があったり、相続トラブルの原因になったり、遺言が無効となってしまう可能性がないとはいえません。

また、公正証書遺言が、家庭裁判所で検認の手続の必要がないのに対し、秘密証書遺言は、自筆証書遺言と同じように、この遺言書を発見した者が、家庭裁判所に届け出て、検認手続を受けなければなりません。

自筆証書遺言

自筆証書遺言は、遺言者が、紙に、自ら、遺言の内容の全文(目録を含むすべて)を手書きし、かつ、日付、氏名を書いて、署名の下に押印することにより作成するものです。全文自書しないといけないので、高齢や病気で自書が困難になった場合は、利用することができません。

パソコンでこの遺言書を作成しても無効とされてしまうのが原則です。

ただし、相続法(民法)の改正にともない、平成31年1月13日以後に作成される自筆証書遺言については、財産目録の部分は「自筆」でなくてもよくなります。ですのでこの遺言書に別紙として添付する財産目録(土地建物の所在など、遺言の対象とする財産を記載した一覧)についてはパソコンで作成したものを添付することができます。また、別紙として不動産の登記事項証明書や預貯金の通帳のコピーを添付することもできます。
ただし、この場合、パソコンで作成した財産目録や預貯金の通帳のコピーなどの別紙については、全てのページに、遺言者の「署名・押印」が必要となる点には注意が必要です。

自筆証書遺言は、自分で書くだけですので、費用もかからず、いつでも書けるものですが、複雑な内容の場合には、法律的に不備な内容になってしまうおそれがあり、後に相続トラブルの原因となったり、訂正方法についても方式が厳格なため、方式不備で無効になってしまうこともあります。

また、自筆証書遺言は、その遺言書を発見した者が、家庭裁判所に届け出て、検認手続を受けなければなりません。

ただし、上でも触れた、自筆証書遺言の「保管制度」(法務局において自筆証書遺言を保管する制度)を利用している場合には、家庭裁判所の検認は不要です。

遺言書の有無を確認する3つの方法

遺言書の有無を確認する方法は3通りあります。
①公証役場で検索(確認)する。
②自宅など保管されていそうな場所を探す。
③法務局で検索(確認)する(自筆証書遺言の保管制度利用の場合)。

遺言書の有無を公証役場で検索(確認)する方法

昭和64年1月1日(1989年)以降に全国の公証役場で作成された遺言(公正証書遺言・秘密証書遺言)はすべてコンピューターに登録され、遺言検索システムによって全国どこの公証役場でも検索することができ、公証人を通じて日本公証人連合会に照会することになっています。震災等により原本や正本・謄本が滅失しても復元ができるよう原本の二重保存システムも構築されており、保管の点からも安心です。

遺言書の有無を照会するにあたり必要な書類は次のとおりです。

相続人が遺言の有無等について照会する場合

  • 被相続人の除籍謄本(死亡確認のため)
  • 相続人と亡くなった方の関係を示す戸籍謄本
  • 検索を依頼する人の本人確認書類と認印

代襲相続人が遺言の有無等について照会する場合

  • 代襲相続人であることを証明する戸籍謄本
  • 亡くなった方の除籍謄本(死亡確認のため)
  • 検索を依頼する方の本人確認書類と認印

相続人ではないが、自分が受遺者になっていると考えている方が遺言の有無等について照会する場合

  • 受遺者であることが想定できる資料及び説明(利害関係人か否かの判断に必要)
  • 受遺者が親族である場合、戸籍謄本など
  • 亡くなった方の除籍謄本(死亡確認のため)
  • 検索を依頼する方の本人確認書類と認印

財産管理人が遺言の有無等について照会する場合

  • 相続財産管理人であることを明らかにする家庭裁判所の決定
  • 亡くなった方の除籍謄本(死亡確認のため)
  • 検索を依頼する人の本人確認書類と認印

相続人ではない親族で、相続人の委任を受けた方または会計士・司法書士などが遺言の有無等について照会する場合

  • 委任を示す書類
  • 相続人の遺言検索にかかる委任状(相続人の実印が押印されたもの)
  • 委任者の3か月以内の印鑑登録証明
  • 代理人の本人確認書類と認印
  • 亡くなった方の除籍謄本(死亡確認のため)
  • 相続人と亡くなった方の関係を示す戸籍謄本
  • または、
  • 亡くなった方の除籍謄本(死亡確認のため)
  • 代襲相続人であることを証明する戸籍謄本

自筆証書遺言・秘密証書遺言は開封するまえに検認手続が必要

自筆証書遺言や秘密証書遺言の保管者、またはこれを発見した相続人は、遺言者の死亡を知った後、遅滞なく遺言書を家庭裁判所に提出し、「検認」の申立てをしなければなりません。
(法務局における自筆証書遺言の保管制度を利用した場合を除く。)

また、封印のある遺言書は、家庭裁判所で相続人等の立会いの上開封しなければならないことになっています。

Check!検認とは

検認とは、相続人に対し遺言の存在及びその内容を知らせるとともに、遺言書の形状、加除訂正の状態、日付、署名など検認の日現在における遺言書の内容を明確にして遺言書の偽造・変造を防止するための手続です。遺言の有効・無効を判断する手続ではありません。

※遺言書が無効であることを確認するためには、別途、手続(遺言無効確認の申立て)が必要です。

Check!検認前に遺言書を開封した場合

検認手続きの前に遺言書を開封してしまうと、5万円以下の過料に処せられます。これは、遺言の提出を怠った場合も同様です。

遺言書を開封してしまっても、直ちに遺言が無効になるわけではありませんが、他の相続人から変造の疑いが出て、その後の遺産分割でトラブルになりかねません。
円滑な遺産分割のためにも、遺言書を発見したらすぐに検認の申立てを行いましょう。

限定承認に必要な手続き ※一般的な流れ

  • 検認の申立て
  • 検認期日の指定
    検認期日の通知
  • 検認期日
    検認の実施

約1ヶ月 ※目安です。

検認期日

検認期日には、申立人は遺言書と申立人の印鑑を持参してください。

申立人から遺言書を提出してもらい、出席した相続人などの立会いのもと、遺言書を開封し、検認します。検認とは、後日の偽造、変造を防止し、その保存を確実にするために、その形式や形状などを調査確認することです。

遺言の執行をする場合には、検認済証明書が必要です。
遺言書の検認手続後、検認済証明書の申請を行います。遺言書1通につき、150円分の収入印紙と申立人の印鑑が必要になります。

遺言の執行については、執行先(土地や建物であれば法務局、預貯金であれば銀行などの金融機関)または、弁護士、司法書士などにご相談ください。

Check!遺言執行者とは

遺言執行者とは、遺言の内容を実現するために必要な手続きをする人です。
未成年者と破産者を除いて誰でもなることができ、相続財産の管理やその他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有します。遺言執行者は、相続人だけでなく弁護士や司法書士などがなることも可能です。

  • 申立人
  • 遺言書の保管者
  • 遺言書を発見した相続人
  • 申立先
  • 遺言者の最後の住所地の家庭裁判所
  • 申立てに必要な書類
  • 申立書1通
  • 申立てに必要な書類
    【共通】
    1. 遺言者の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
    2. 相続人全員の戸籍謄本
    3. 遺言者の子(及びその代襲者)で死亡している方がいらっしゃる場合、 その子(及びその代襲者)の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、 改製原戸籍)謄本
    【相続人が遺言者の(配偶者と)父母・祖父母等(直系尊属)(第二順位相続人)の場合】
    4. 遺言者の直系尊属(相続人と同じ代及び下の代の直系尊属に限る(例:相続人が祖母の場合、父母と祖父))で死亡している方がいらっしゃる場合、その直系尊属の死亡の記載のある戸籍(除籍、 改製原戸籍)謄本
    【相続人が不存在の場合、,遺言者の配偶者のみの場合、又は遺言者の(配偶者と)の兄弟姉妹及びその代襲者(甥、姪 )(第三順位相続人)の場合】
    5. 遺言者の父母の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
    6. 遺言者の直系尊属の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
    7. 遺言者の兄弟姉妹に死亡している方がいらっしゃる場合、その兄弟姉妹の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
    8. 代襲者としての甥、姪 に死亡している方がいらっしゃる場合、その甥又は姪 の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
  • 遺言書の検認の申立書の様式・書き方
  • 出典

    遺言書の検認の申立書の様式・書き方(2ページ) http://www.courts.go.jp/vcms_lf/280610igonnsyokennnin.pdf

    裁判所ホームページより

Check!封印のない遺言書の開封について

自筆証書遺言や秘密証書遺言は、内容の漏洩や改ざんを防ぐために封印されるのが一般的ですが、封印がなければ遺言書を発見した人が内容を確認しても特に問題はありません。

また、封印の有無は遺言書の有効性とも関係ありませんので、封印されていなくても遺言としての要件を満たしていれば、遺言書は有効です。

ただし、封印のない場合でも、自筆証書遺言や秘密証書遺言は検認が必要です。家庭裁判所に申立てる際、封印がなかったことを申告しましょう。そうすれば、保管状況として封印されていなかったことを、裁判官が調書に残してくれます。

Check!遺産分割後に遺言書が見つかったら

遺言書の内容は最大限に尊重されるものです。遺産分割協議の内容と遺言書の内容が異なっていた場合、先に行った協議が錯誤により無効となる可能性があります。

ただし、遺産分割には相続人全員の合意が必要となります。相続人全員が、遺言書の内容ではなく、先に行った遺産分割協議の内容を優先させたと考えるのであれば、必ずしもやり直しは必要ありません。

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