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未支給年金は相続放棄しても受給できる?相続税・受給方法はどうなる?

未支給年金は相続放棄しても受給できる?相続税・受給方法はどうなる?

年金を受給している方がお亡くなりになった場合、遺族はどのような年金を受給することができるのでしょうか?今回は、公的年金の種類、ご遺族が受給できる遺族年金について解説した上で、未支給年金と相続、相続放棄の関係、受給方法や税金などについて詳しくお伝えしていきます。

年金(公的年金)の種類

年金には「公的年金」と「私的年金」があることはご存知の方も多いと思います。

公的年金は、20歳以上60歳未満の国民全員に加入義務がある「国民年金」と、会社員や公務員などが加入する「厚生年金」の2つがあります(なお、平成27年9月30日までに受給権が発生していた場合、公務員等が組合員として加入していた共済組合等の給付は「共済年金」です)。一方で、私的年金は、その名のとおり企業や個人が任意(私的)に加入する年金のことで、公的年金に上積みされます。

このうち「国民年金」から支払われるものが「老齢基礎年金」「障害基礎年金」「遺族基礎年金」で(自営業者の方など第1号被保険者の場合のみ「付加年金」「死亡一時金」「寡婦年金」がありますが簡略化のため割愛します)、「厚生年金」から支払われるものが「老齢厚生年金」「障害厚生年金」「遺族厚生年金」です。

これら3種類の年金のうち、基本的に未支給年金に含まれない年金が「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」(両方を合わせて「遺族年金」と呼びます)です。なぜなら、遺族年金はある方がお亡くなりになるという事実が発生してからはじめてその遺族が受け取れるというものであるため、「未支給」という観念を入れ込む余地がないからです。

そこで、以下では遺族年金およびその支給開始日について詳しく解説した上で、「未支給年金とは?」のところで未支給年金について詳しく解説していきます。

遺族基礎年金

遺族基礎年金とは、国民年金に加入している方などが亡くなった場合に、その方と生計を一にしていた方(特に遺児)の生活を支える目的で給付されるお金のことです。遺族基礎年金の受給要件、受給対象者、受給金額について解説していきましょう。

受給要件

遺族基礎年金の受給条件は、次のア~エのいずれかを満たす人がお亡くなりになった場合です。

  • ア:国民年金の被保険者
  • イ:国民年金の被保険者であった方で、死亡時に日本国内に住民登録がある60歳以上65歳未満の方
  • ウ:老齢基礎年金の受給資格期間が25年以上ある方
  • エ:老齢基礎年金を25年以上の受給資格期間で受給していた方

ただし、ア・イの場合は次の条件のいずれかを満たす必要があります

  • ・ 死亡する月の前々月までの被保険者期間のうち、保険料納付期間と免除承認期間、(若年者)納付猶予承認期間、学生納付特例承認期間を合わせた期間が加入期間の3分の2以上あること
  • ・ 死亡日の属する月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がないこと(令和8年3月31日までの特例)

受給対象者

遺族基礎年金の受給対象者は、死亡した人によって生計を維持されていた次の人です。

  • ・ 子のある配偶者
  • ・ 子

ここで、子とは次のとおりです。

  • ・ 18歳の誕生日以降、最初に到来する3月31日を経過していない子
  • ・ 20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級に該当する程度の障害のある子

受給金額

遺族基礎年金の受給金額は、基本が78万1,700円であり、第2子までが子一人につき22万4,900円加算されます。第3子からは子一人につき7万5,000円が加算されます(なお、子が遺族基礎年金を受給する場合の加算は第2子以降について行われ、子1人あたりの年金額は均等に等分されます)。

遺族厚生年金

遺族厚生年金とは、厚生年金に加入している人などがお亡くなりになった場合に、その人と生計を一にしていた人の生活を支える目的で給付されるお金のことです。遺族基礎年金が特に遺児の生活を支えることが主目的だったのに対し、遺族厚生年金は遺児に限らず広く家族の生活を支えることを目的としています。

遺族厚生年金の受給要件、受給対象者は次のとおりです。

受給要件

遺族厚生年金の受給要件は次のア~エのいずれかを満たす場合です。

  • ア:厚生年金の被保険者がなくなった場合
  • イ:厚生年金の被保険者であった方が、被保険者期間に初診日がある傷病がもとで、初診日から5年以内に死亡した場合
  • ウ:老齢厚生年金の受給資格期間が25年以上ある方が死亡した場合
  • エ:1級、2級の障害厚生年金を受けられる方が死亡した場合

ただし、ア・イの場合は次のいずれかの条件を満たす必要があります

  • ・ 死亡する月の前々月までの被保険者期間のうち、保険料納付期間と免除承認期間を合わせた期間が加入期間の3分の2以上あること
  • ・ 死亡日の属する月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がないこと(令和8年3月31日までの特例)

受給対象者

遺族厚生年金の受給対象者は、死亡した人によって生計を維持されていた次の方です。なお、受給には次のように順位が決まっています。

  • 第1順位:配偶者(ただし、妻には年齢要件ないが、夫は55歳以上の場合)
  • 第2順位:子
  • 第3順位:父母(ただし、55歳以上の場合)
  • 第4順位:孫
  • 第5順位:祖父母(ただし、55歳以上の場合)

以上より、父母は死亡した人に配偶者または子がいる場合は受給権を有しません。孫は、配偶者、子または父母がいる場合は受給権を有しません。祖父母は、配偶者、子、父母または孫がいる場合は受給権を有しません。

なお、子、孫とは、次のことを言います。

  • ・ 18歳の誕生日以降、最初の3月31日までにある子
  • ・ 20歳未満で障害基礎年金に該当する程度の障害のある子

遺族年金の支給(開始)日

遺族年金の対象月は、対象となる方がお亡くなりになった月の翌月からです。そして、基本的には偶数月の15日(15日が土日祝の場合は前日)に受給対象者が指定した口座に遺族年金が振り込まれます。

たとえば、厚生年金の被保険者である50歳の男性が5月10日に死亡したとします。この場合、対象月は翌月の6月からとなり、6月分、7月分の遺族年金が8月15日に振り込まれます。

もっとも、この8月15日に必ず振り込まれるかといえばそうではありません。なぜなら、遺族年金の受給から振り込みまでは4ヶ月程度かかると言われているからです。したがって、上記の例でいえば、10月15日に6月分、7月分、8月分、9月分の4ヶ月分がまとめて振り込まれるということの方が、現実には多いです。

未支給年金とは?

未支給年金の「未支給」とは、次の2つの意味(ケース)があります。

  • ケース1:お亡くなりになった方が年金を受給していたのに、年金が口座に振り込まれる前になくなってしまったため受け取ることができなくなった場合
  • ケース2:お亡くなりになった方がそもそも年金を受け取っていなかった場合(受け取る手続をする前に死亡した場合

ケース1の年金とは、遺族年金を除く「老齢年金」「障害年金」のことを指します。一方で、ケース2の年金とは「老齢年金」「障害年金」「遺族年金」のことを指します。未支給年金とは、このいずれかの年金のことを言います。

ここで、「老齢年金を受給していた(つまり、「未支給」の前者のケースの)70歳の男性が5月10日に死亡した」ケースを例として説明しましょう。

老齢年金は遺族年金と同様、偶数月の15日に口座に振り込まれます。そして、これも遺族年金と同様に4月分、5月分などと2ヶ月分が翌月(6月)の15日に振り込まれるのです。

ところが、男性は5月10日に死亡していますから、6月15日に口座に振り込まれるはずであった年金を受け取ることができません。これが未支給年金です。いずれの月、いずれの日にお亡くなりになっても未支給年金は必ず発生します。

未支給年金を受給できる?相続放棄しても受給可能?

ご家族がお亡くなりになった場合、たとえば、「夫には借金がありそうだから相続放棄したい」「でも、相続放棄してしまうと未支給年金も受給できなくなるのでは?」と考える方もいることでしょう。相続放棄をしてしまえば、未支給年金も受給できなくなるのでしょうか。

相続財産とならない(相続の対象外)

最高裁の判例では、未支給年金は相続財産ではないとの判断がなされています。そのため、相続放棄をしても、未支給年金は受給できます。

未支給年金を受給できる人・請求方法・注意すべき点

では、いかなる人がいかなる方法で未支給年金を受給することができるのか、また手続をする際の注意点について解説していきましょう。

未支給年金を受給できる人

未支給年金を受給できる人は、お亡くなりになった方と当時(死亡時)、生計を同じくしていた次の方です。

  • 1. 配偶者
  • 2. 子
  • 3. 父母
  • 4. 孫
  • 5. 祖父母
  • 6. 兄弟姉妹
  • 7. 上記を除く三親等以内の親族

1から7は未支給年金を受給することができる順位で、先順位の方がいる場合は後順位の方は受給することができません。

請求方法

未支給年金を受給するには、「年金事務所」あるいは「年金相談センター」へ必要書類を提出して請求する必要があります。一般的に必要とされる書類は次のとおりですが、個人個人で必要とされる書類が異なりますから、まずは年金事務所等に確認してから取り寄せるようにしましょう。

ア:死亡に関する書類

  • ・ 受給権者死亡届+添付書類

添付資料とは、

  • ・ お亡くなりになった方の年金証書
  • ・ 死亡の事実を明らかにできる書類(戸籍抄本、市区町村に提出した死亡診断書、死亡届のコピーなど)

です。

イ:請求に関する書類

  • ・ 未支給年金、未払給付金請求書+添付書類

添付資料とは、

  • ・ お亡くなりになった方の年金証書
  • ・ お亡くなりになった方と請求者との関係が分かる書類(戸籍謄本など)
  • ・ お亡くなりになった方と請求者が生計を同じくしていたことが分かる書類(それぞれの住民票)
  • ・ 受け取りを希望する金融機関の通帳(※ネット銀行の口座は受け取り口座として指定できない場合もあります)
  • ・ 生計同一の関する書類(※お亡くなりになった方と請求する方が別世帯の場合)

です。

ウ:年金請求に関する書類(「ケース2」の場合)

ケース2の場合は、上記ア、イに加えて、お亡くなりになった方自身の「年金請求書」およびその「添付書類」が必要です。年金請求書の様式や必要な添付書類については日本年金機構のホームページで確認すると良いでしょう。

注意すべき点

未支給年金の受給に関して、注意すべき点は2つあります。

早めに手続を開始する

手続の開始が遅れ、お亡くなりになった年金受給者が生きている前提で年金が支給されてしまい、遺族が余分に年金を受け取ってしまうと返金を求められることがあります。

また、未支給年金の受給権には時効があります。時効が完成すると未支給年金を受け取ることができなくなります。時効はお亡くなりになった方の年金支払い日の翌月の初日から起算して5年です。

「ケース1」の場合は死亡した人の口座解約の手続きが必要

お亡くなりになった方が年金を受給していた場合は、お亡くなりになった方の受け取り口座を解約する手続をしていなければ、お亡くなりになった方の受取口座に年金が入金される可能性があります。そのため、お亡くなりになった方の口座の解約手続きも早めに行うことが必要です。

年金と税金

最後に、年金と税金(相続税)について解説します。未支給年金が「公的年金」か「私的年金」かで相続税の対象か否かが異なります。

「公的年金」は相続税の対象外

公的年金の未支給年金の受給権は、「未支給年金を受給できる?相続放棄しても受給できる?」のところの「相続財産とならない」でお伝えしたように、遺族固有の権利ですから相続税の対象ではありません。もっとも、未支給年金は一時所得とされ、受給した年分の一時所得の合計金額が未支給年金分を含めて50万円を超える場合は所得税の対象となります。

「私的年金」は相続税や贈与税の対象

公的年金と異なり、私的年金の年金受給権は相続財産に含まれます。そして、お亡くなりになった方が保険の被保険者かつ保険料負担者である場合に取得した場合は相続税の対象になり、お亡くなりになった方が被保険者で保険料負担者が被保険者とは別の方の場合に取得した場合は贈与税の対象になります。

まとめ

未支給年金は被相続人の相続財産に含まれず、相続放棄の対象ともなりません。したがって、相続人が相続放棄した場合でも未支給年金を受給することができます。

公的年金の未支給年金は非課税ですが、私的年金の場合は課税されます。

遺族が受け取る遺族年金と未支給年金とは、意味や受給条件、受給できる人の範囲、受給方法、受給金額等がまったく異なります。この際にしっかりと確認しておくと良いでしょう。

このコラムの監修者

  • 安部直子 弁護士
  • 弁護士法人 法律事務所オーセンス

    安部 直子 弁護士(東京弁護士会所属)

    東京弁護士会所属。創価大学法学部卒業、創価大学法科大学院法務研究科修了。法律事務所オーセンス入所から、離婚問題、遺産相続などの家事事件を中心に、個人からの依頼案件を数多く担当。これまで解決に携わった案件数は500件を超える。離婚問題では、特に未成年の子を持つ場合の夫婦関係についてどういった結論をとるべきかといった依頼者の不安や苦悩に寄り添い、依頼者が前を向いて新しいスタートを歩み出せるような解決に努めている。書籍の執筆(共著)やメディアへの寄稿、監修も数多く手がける。

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